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相続時精算課税

 ある一例ですが、令和3年5月に、親から子へ1,000万円を贈与しました。親御さんとしては、自分の財産はいずれ亡くなったら自然と子へ渡ると思っていて特に何も考えていませんでしたが、お子さんの事情でまとまったお金が今必要だという事で、3,000万円持っているなかから1,000万円を急遽贈与しました。本来なら、贈与税の基礎控除110万円を控除して、890万円に贈与税がかかります。相続の時は残り2,000万円に対して相続税がかかります。

 「これが全部相続の時だったら、基礎控除が大きいので税金の心配はいらなかったのに、、、」ということは多いかと思います。そんな時に、「今回の贈与分は、相続の時に精算することにして、とりあえず贈与税はかからない。相続になったら、今回贈与した1,000万円も含めた3,000万円を相続財産として相続税を計算する」という事にできる仕組みがあります。これを相続時精算課税といいます。

 この制度を利用するためには、この贈与は令和4年の2-3月に贈与税の申告が必要ですが、その時贈与税の申告書と一緒に「相続時精算課税選択届出書」を税務署に提出します。

 そう致しますと、今回の贈与税は0円で、親御さんがお亡くなりになった時に相続税を改めて計算します。選択すると有利になる場合が多いのですが、逆もあります。いったん選択したら、以後は贈与税の110万円の控除は使えません。そして贈与額の累計が2,500万円までなので、それ以上贈与するにはいずれにせよ贈与税がかかります。

 大きくまとめると、もともと相続税がかからないか、少しかかる場合ならこの制度を選択したメリットは大きいです。しかし、もともとの財産が多く相続税がかかり、そして頻繁に贈与するご家庭の場合だと、贈与税の基礎控除を活かした方が節税になる場合もありますので、迷ったら一度ご相談ください。